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 小野泉水公園【おのせんすいこうえん】(熊本県熊本市植木町)    site up 2003/11/18
小野泉水1
国道3号線、この九州の大動脈とでもいうべき主要国道、その熊本県植木町を通過していた。ま、とある業務を遂行した帰りであったのだが、「小野泉水公園」という看板を見つけた。上り線では小さい看板なので見逃す心配すらある。
小野泉水公園? そういえばお世話になっている植木町在住webデザイナーK氏から、以前聞いたことがある名前だ。
「植木町が小野小町の生まれた場所ってご存知ですか?」
そのときの衝撃は今だに忘れられない(ちょっと過大表現)が、そのとき聞いた公園名がまさしく「小野泉水公園」というわけである。
これは訪れなくてはなるまい。世界3大美女(世界統一基準ではないとしても)と言われる絶世の美女(現代の基準ではどうかな)である。知名度なら卑弥呼並みである、何しろ学校で教わるほどの人物だ。これは一級観光地の予感である。
宣伝するなら交通量に不服なしの3号線にあって、先述の「小野泉水公園」と書かれた標識が立つだけである。そこに小野小町の文字はない。これじゃ、田舎にある普通の公園程度にしか思われない。池がある公園かぁ、程度である。もっと宣伝すべきだ植木町、と申し上げておこう。
だがひょっとすると、福島県田村郡小野町が、我が町は「小野小町誕生伝説の地」と小野町説を展開していることへの気遣いなのだろうか? そこは卑弥呼伝説が各地にあるのと同様、いいではないか、言うならば植木町説をもっと大々的に宣伝すべきだ植木町、重ねて申し上げておこう。
国道3号線と国道208号線が交わる植木町だが、そこから600mほど北にある交差点より植木町役場の方へ(東へ)曲がり、2.5km進む。もっと途中に案内がほしい気もするが、写真のような標識が公園まで導いてくれる。
小野泉水5
小野泉水6 小野泉水7 小野泉水8
もう少し各所に標識がほしい、と思う 道は整備されている 公園風景、手前後ろに泉水がある
小野泉水9 後日調査を行った。その名も「クイズ植木町を知っている身の回り10人に聞きました」(笑)
「植木町が小野小町の生まれた場所ってご存知ですか?」
結果は無残にも知っている者はいなかった(編集注:調査人数が少ないよ)。驚きの声が返ってくるだけである。ふふふ、メジャー要素十分でもマイナー観光地(失礼)、これはあじこじで紹介し甲斐のあるスポットだなぁ、とニタリ顔になった私がいた。
季節がら水を流してない水路を中心に公園が整備されている。上流へ向かうと、なるほど泉水公園というだけあって池があった。巨大なコイが泳いでいる。池の水深は浅いようだが結構透明度は高い、と思っているとやっぱり湧水であった。湧出量は書いてないが、私の感覚的に申し上げれば毎分5〜10トン程度はあるのではないだろうか。ただ、話によると湧出量は多少変動している可能性がある。
池までくると、やっと小野小町の名前に会える。なんともうれしいものだ。
さて、ここの植木町の小野小町伝説によれば、出羽郡司(郡の政務にあたった『地方官』)であった小野良美【よしざね】は、養父の小野篁【たかむら】が犯した罪(なんでしょうね)に連座して一緒にこの地へと流罪となる。七国神社は本国への帰参祈願を行うために良実が勧進【かんじん】(寄付を集めて造営)したという。しかしこの地に流されて11年という年月が過ぎ、この間に長女龍子、次女小町が産まれた。この小町こそが小野小町であるというのだ。
また産まれたときに使った産湯は、この小野泉水の水を使ったとされる。小野泉水を見下ろすところに、小町堂が建てられ中には小野小町像が祀られているという。
なるほど、立派な小野小町の誕生伝説である。
小野泉水10
小野泉水11 左写真が小町堂である。

ちなみに福島県小野町の小野小町伝説も、簡単にご紹介しておかねばなりますまい(笑)
七里ヶ沢といわれたこの一帯(小野町の地名でしょう)へ、京の教養人であった小野篁が住民を救うために訪れ、産業や文化の礎を築くのに懸命の日々を送っていた。その小野篁の荘園に、息をのむほどに美しい娘「愛子」が奉公していた。篁と愛子はたがいに恋文を交し合う仲となり、そして産まれたのが比古姫である。比古姫は大変美しく育ち、6歳の頃に都へと連れていかれた。この比古姫こそが小野小町であるという説である。(要約抜粋)
小野篁が双方の伝説に登場するものの、父が違うところが面白い。これでいくと、小野町説の小野小町の方が、植木町説の小野小町より年上、ということになりそうだ。
大変有名な、百人一首にも謳われる
「花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせしまに」
という小野小町の歌。意味は、
「長い雨をぼんやり眺めているうちに、花の色は変わってしまった。この私の姿も(美しさも)、無駄に時を過ごすうちに、失われてしまうのだろう(か)」
といった意味である。花の変化に自分の姿(心境)を巧みに表現しているとあってすばらしい歌と絶賛されている。
それにしても、なんとも絶世の美女であるがための悲しげな歌であろうか。美人かくも悩みけりである。
ちなみに私に置き換えると、花の色が変わるぐらいの時間があれば、発育豊かなヒゲにより見るも無残なヒゲ顔となる。絶世の美男ではないが悩むところ、ま、余談である。
小野泉水12
小野泉水6 小野泉水7 小野泉水8
こじんまりとしたお堂である 伝説に関係する七国神社、参道は泉水へ ちょっとかわいい?狛犬様
小野泉水13 小野泉水を一周してみると、場所によって明らかに透明度が違う。なるほど、湧水ポイントがこの辺りだな、と分かる。神社の参道である階段があるが、不思議なことにその先は小野泉水へ伸びており、その付近は透明度が高い。正確には近くの岩場から湧き出ている感じである。チョロチョロといった水の音も聞こえるときがある。
確認できる湧水地点はもう一箇所ある。小野泉水は乱暴に言えばL字型になっているのだが、最も奥まったところの中央付近に岩がありその付近からも湧出している。不思議なことに、その岩は水面より20cm程出ているのだが、岩の上部からチョロチョロと水がつたう。これは自然かそれとも人工か、と悩むところだ。
鯉にはエサを買って与えることができるが、エサを求めて集まっている鯉もいれば、湧出ポイント付近で綺麗な水に漂う鯉達もいる。環境が良いのだろう、どれも形に肉付きとすばらしい。
小野泉水から流れ出た水は清流である。公園の脇を流れていくのだが、ここがホタルの名所として整備そして管理されている。きっとその季節には美しい乱舞が見られるに違いない。小野小町と湧水とホタル、これが小野泉水公園の特徴である。
帰路に着くべく車に乗りこみ、そしてふと考える。小野泉水公園...サブタイトルが必要じゃないか? 「小野小町伝説 小野泉水公園」ううむ、これは順当すぎて面白くない。個人的には「美人を育む小野小町名水 小野泉水公園」なんか、興味がそそられる。国道3号線から「曲がってみようかなぁ」と思う人がきっと増加する。
たぶんあまり知られていない小野泉水公園と小野小町生誕伝説。今回、あじこじ九州でご紹介できることは地域再発見の冥利に尽きるところ。これを機にもっともっとメジャーな観光スポットになることを祈念して、小野泉水公園のご紹介としたい。
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小野泉水14 小野泉水15 小野泉水16
シーズンにはホタルの乱舞が見られる 遠くに見えるのは阿蘇外輪山「鞍岳」 有名な歌、花ではないが葉の色も変わる

 関連リンク 熊本観光ガイド  
   

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