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 消防出初式(放水合戦)  (熊本県玉名郡南関町)    site up 2004/01/13
出初式1
出初式【でぞめしき】という催しが各地で行われる。消防団による新春イベントといった感があるが、出初式を紹介するとなればここ南関町の消防出初式をまずご紹介せねば、という使命がある。「なんで?」とお思いの方も多いことだろう。ま、簡単に言えば私の地元で行われる消防出初式を紹介せずして何をいわんや、ということであるが、なかなか見応えある出初式と思うので、少々お付き合い頂きたい。
消防出初式とは簡単に言えば、消防職員、消防団員ほか消防に携わる人々による新年最初の演習のことである。その歴史は江戸時代にまで遡る伝統の行事であるが、ここ南関町の出初式も今年平成16年で122年の歴史を持っている。そして特徴は、通常の演習後に大正時代からの手押しポンプを使って「竿頭標的落し」「放水合戦」が行われる。これに毎年大勢の見物人が集まる。
出初式そのものは、朝早い時間から行われる。以前は毎年1月20日に行われていたようだが、昭和49年からは1月10日、そして数年前からは消防団員が平日はなかなか休みがとれないといった諸事情により、1月の第二土曜日に行われるようになった。大津山グラウンドにて開式、ポンプ模範競技、小体訓練や各表彰に式辞、祝辞などなど。諸事情によって撮影はしていないのであしからず。
大津山グラウンドが第一会場で、一斉放水、竿頭標的落し(放水によって玉を落とす時間を競う競技)、放水合戦が行われる南関高校前の関川が第二会場となるが、この会場移動が分列行進となって、写真のように各分団ごとに町内を行進する。南関町役場の前では町長が待ち、団員が敬礼して進む。お子さんなどは、いつも見ることができない多くの消防車行進もあって大喜びだ。110周年などの記念の際には、県知事などの来賓もある。
出初式2
出初式3 パンフレット「消防の伝統」からかいつまんでご説明すると、南関町消防団の歴史は古く、もともとは関手永【せきてなが】の火消隊と呼ばれるころから。関手永とは寛永9年(1632年)に細川藩により設立された自治体のようなものだ。江戸時代末期に、南関町総庄屋江上安太氏が、毎年一回定期的に消防点検を実施していたそうで、明治15年に当時最新鋭の消防器具であった龍吐水【りゅうどすい】のを購入を祝い、南関町竜瀬川(関川)の両岸に二組に分かれてポンプによる標的落しの競技を始めたそうである。そしてその競技に勝った組は敗れた組にポンプで水をかけるようになったそうで、これが今日に観客を楽しませる放水合戦の起源とされている。
龍吐水とは、それまで「水はじき」「生龍水」などと呼ばれていた大きな水鉄砲のような装置に、水槽部分を合体させたものであり、下記写真のように台車に載せられている。
さて、分列行進にて関川へと移動が完了すると、まずは近代消防設備による一斉放水が行われる。もちろんポンプ車や発動式ポンプによるもので、高々と放水が行われる。近くの住人はこの時間帯に洗濯物を出しておくと危険である。風向きによってはギャラリーの皆さんも濡れることも。
出初式4 出初式5 出初式6
資料1 大正5年製の龍吐水ポンプ 資料2(写真クリックにて拡大) 資料3(写真クリックにて拡大)
出初式7 出初式8 出初式9
近代設備による放水準備 車も発動機もけっこうあった この光景はどこの出初式にも...
次は竿頭標的落しである。さて、ここからは人力ポンプの出番となる。発動ポンプ達は一斉に退去、主役交代だ。
高さ15mほどであろうか、竿の先に小学校などの玉入れ競争で使うような籠を付け、その中にたぶんビーチボールが入れられていると思うが、これを手押し人力ポンプから放たれる水によって落とすまでの時間を競うものだ。監督者の旗振りを合図にして、分団員は一斉に標的下までポンプが載ったリヤカーを引いて走りより、あるものは川に飛び込み、呼び水とでもいうのか最初に必要となる水をバケツで汲み上げ、あるものは給水パイプを川へ投げ入れそしてポンプにつなぎ、またあるものはポンプを手押しできるようセットしポンプを挟んで二組交互に押し始め、そしてあるものは放水パイプ先端を水圧が高くなるまで手で塞ぐ。
10回ほどポンプが加圧されると、塞いだ手から水が溢れ出す。狙いを定めて塞いだ手を離すと高々と水が舞い上げられる。速い分団は旗が振られたスタートから1分以内で標的を落とす。ま、標的が落ちるまでは延々と手押ししなければならず、風などで放水のコントロールが出来ないときなどは大変だろう。この日も苦戦する分団もあって、観客からは「きつかよねぇ」と声が漏れていた。
出初式10
出初式11 出初式12 出初式13
人力ポンプと消防団、走る 狙いを定め、水圧上昇を待つ ボールはすぐに落とせるか!?
出初式14 8分団だったろうか、それぞれに竿頭標的落しが行われた後はいよいよ放水合戦である。いつの間にか、川の両側に手押しポンプが運ばれていて放水準備万端であった。「濡れるばぁい!」という前評判(?)を考えると、放水し合う両岸はズバリ危険、やや緊張がよぎるというもの。
往年の渋い輝きを保つ龍吐水、合図と共に男たちの力が加えられる。放水口が向けられる先は対岸の分団員、このときとばかりにパワー全開である。現代のポンプに比べれば圧力が低いとはいったものの、川幅10m程度であれば十分な威力である。中には毎年恒例(?)か、ポンプごと川に入ってポンプを稼動させるところも。放水口を持つものが相手岸近くまで行って至近距離での放水を行うところと、まぁなんでもあり。
このシーン目当てに地元民放局とNHKが来ていたが、さすがに防水用具着用での撮影だった。たまに狙われるしね(笑)
放水合戦の時間は10分程と思われるが無事に終了。最近は暖冬が続き晴れていれば幸いであるが、以前は氷点下の中でも放水合戦が行われていた。場所によっては観客の皆さんも水害に襲われるところだが、もちろんそれで文句を言う人はいない。いや言うくらいなら近くで見てはいけないよね(笑)。勘違いしてシャネルの服装でも着てきたブランドギャルがいれば別かもしれない、彼氏は帰りの道中慰めてやってほしい(笑)。
この後、すぐ近くの南関高校グラウンドに場所を移して、竿頭標的落しの表彰などが行われて正午過ぎに無事消防出初式は終了となる。友人に消防団員がいるが、この出初式が終わるまでは正月が終わった気がしないと言っていた。これでやっと一息つけるのではないだろうか、お疲れ様である。出来ればもっとゆっくりできるよう、町内での火災はしばらく発生しないようにしてやって頂きたい。火の元用心である。
出初式15
下記写真クリックにて大きい写真が開きます(640×480pixel)
出初式16 出初式17 出初式18
放水合戦の第二会場へ 暖冬とはいっても1月ですよぉ 命中!!
 関連リンク 南関町ホームページ  
   

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