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【 現地案内文 】
マメ科のつる性の常緑木本。つるは大きく、葉は濃緑色で光沢がある。5月に太い茎を出し、10〜20個の暗紫色の大きな蝶形の花をつける。普通は結実しないが、昭和37年に人工授粉により結実させた結果、中国中部に分布する常春油麻藤と同じ種類であることが確認された。日本ではただ一本自生する貴重な植物で、樹令は約1000年と推定されている。
学 名:ムクナ センペルビーレンス
中国名:常春油麻藤(じょうしゅんゆまとう)
飛蔓(トビカズラ)伝説
昔、源平合戦の頃のはなしである。壇の浦の合戦で敗れた平家の残党が相良寺に立て籠もった。当時、この地には本堂ほか九十九の坊舎建ち並んでいたというが、これを豊後竹田の源氏方武将緒方三郎なるものが焼討ちした。この時、観音様は飛翔してこのカズラに飛び移り危うく難をのがれられたという。
また、一説には、観音様がカズラに姿を変えて飛来され、走落の坂を下る緒方三郎の乗馬の足にからみつかれ、落馬したところを残兵が討ち取ったとも伝える。
「トビカズラ」の名の由来について、この二つのはなしが伝わっている。
トビカズラの花は古来優曇華(うどんげ)と呼ばれ、「霊華時を隔てて開花することあり。開花すれば必ず国家的事変がある。」と言い伝えられてきた。昭和4年5月、満州事変勃発の前年に35年ぶりに開花をみたという。優曇華は、仏教では3千年に一度花を開きその花の開くときは金輪王が出現するといい、また如来がこの世に現れるといわれている。
近年では毎年のように4月下旬から5月上旬にかけて暗紫色の房状の花をつけている。
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