武雄温泉　佐賀観光　あじこじ九州

K-00317-S0021

	武雄温泉　（佐賀県武雄市）	site up 2008/11/11

佐賀県を代表する温泉の１つ「武雄温泉【たけおおんせん】」。

嬉野温泉とともに肥前国風土記(※1)というおよそ１３００年も前に記された古書にその名を刻む半端でない歴史を有する温泉である。
その起源は三韓征伐の帰途ここに立ち寄った神功皇后が太刀の柄で岩を一突きし湯を湧き出させたとも伝えられ、そうなると更に５００年の歴史を遡る。

写真は大正四年(1915)に建造され、肥前国唐津藩(同県唐津市)の出身である辰野金吾(※2)氏が設計を手掛けた「武雄温泉楼門」。
まさしく竜宮門を思わせる朱色の鮮やかな造りは武雄温泉のシンボルとされ国の重要文化財にも指定されている。

入母屋造本瓦葺の木造二重門で下層は白漆喰塗り。天平式楼門と呼ばれるらしく釘を一本も使用していないそうである。

(※1)奈良時代[710～794]初期に編集
(※2)【たつのきんご】明治・大正期の建築家。代表的な作品として東京駅や日本銀行本店の設計を手掛けた。




	楼門をくぐり正面に位置するのは「武雄温泉新館」である。こちらも楼門と同じく辰野金吾氏の設計で国指定重要文化財(楼門と共に平成１７年７月指定)である。武雄温泉には豊臣秀吉による朝鮮出兵の際には名護屋に駐屯した将兵が多く訪れたため、言わばマナーを守るようにと秀吉が示した"入湯心得"なるものも残されている。また、江戸時代以降は長崎街道の宿場町として栄え伊達政宗や宮本武蔵が、幕末にはシーボルト、吉田松陰も入湯したといわれる。明治期に入ると周辺に炭鉱が次々とでき、交通網の発達も追風となって武雄の温泉は隆盛を極めた。しかしながら、昭和の中期になると客数の減少と建物の老朽化によって新館は閉鎖(昭和48年頃)、なお閉鎖中であった昭和６１年３月に県の重要文化財に指定される。その後、平成１５年に復原されご覧のように息を吹き返した。現在のところ、新館は温泉資料館として公開されており、お土産処・陶芸の体験教室などもある。





楼門・扁額｢蓬莱泉｣の文字は中林梧竹の筆	新館内部（1F）の様子	新館にある浴場の１つ




		さて、温泉の紹介であるが泉質は弱アルカリ性単純泉。無色透明で｢美肌と保温｣効果が高いと言われる。敷地内には、楼門をくぐってすぐ左手にある共同湯の元湯・蓬莱湯【ほうらいゆ】、建物は楼門や新館よりも古い明治９年竣工の木造。他、旅館｢楼門亭｣に併設し同じく共同湯で露天風呂・サウナのある鷺乃湯【さぎのゆ】。貸切風呂は、殿様湯・家老湯・柄崎亭【つかざきてい】５室の計７室ある。殿様湯は\3800/1時間と料金も殿様級、江戸中期に領主鍋島氏専用として造られたという、まさにその名の通り。浴槽は市松模様の総大理石で贅をつくしたものであるが現存は明治時代に改造されたもののようである。多彩な浴場のなかでは元湯がポピュラーで庶民的なもの(大人\300)。昔ながらの風情が残るとして多くの人々から親しまれているようである。元湯のみ石鹸やシャンプーが設置されていないので持参されたい。その他市内に点在する宿や施設でも立ち寄り湯が楽しめる。詳しくは武雄市温泉協会ＨＰにて。





貸切湯の受付	家老湯	家老湯の控室




	【現地案内文：国重要文化財　建造物　武雄温泉新館及び楼門】武雄温泉の新館と楼門は、武雄温泉組（現在の武雄温泉株式会社）が、辰野・葛西建築事務所に設計を、清水組（現在の清水建設）に施工を委託し、大正三年（一九一四）に着工、翌四年に竣工しました。辰野金吾は唐津出身で、明治から大正期にかけての我が国の建築界における第一人者として知られています。この新館と楼門は、辰野の晩年の大作と言われる東京駅と同期の作品ですが、現存する中で数少ない木造建築であり、辰野の設計になる佐賀県内唯一の建築物です。また、正面に竜宮門をおく配置計画、複数の浴室と休憩室を一体化した施設計画など、保養施設の歴史を知る上でも重要なことから、国の指定を受けました。 ◎新館　木造入母屋造桟瓦葺　二階建　　　　　　桁行正面十四間、梁間三間　　　　　　一階　男女大浴場各二室・　　　　　　　　　　　上々湯各三室　　　　　　二階　和室五部屋 ◎楼門　桁行　六、八ｍ　梁間　四、九ｍ　　　　　　高さ　十二、五ｍ　　　　　　屋根　入母屋造・本瓦葺　　　　　　下層　白色漆喰塗り大壁　　　　　　平成十七年七月二十二日指定

　交通アクセス（公共交通）

ＪＲ九州・佐世保線「武雄温泉駅」北口下車。およそ１Ｋｍ。