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 見帰りの滝 (佐賀県唐津市相知町)    site up 2004/05/11
見帰りの滝_1
見帰りの滝がある。通常連想する字は“見返りの滝”かと思う(辞書もこちらがある)。文字通りあまりの美しさに振り返るほどの滝、または見に帰るほど美しい滝、といったニュアンスだろう。見返美人というのと同様の意味合いだ。見返りという意味をちょっぴり意地悪く受け止めれば、あまりにも美しい滝だから、見るんだったら何か見返りを置いていってよね、といった意味がないともいえまい(笑)
以前訪れたことはあるが、滝の詳細なイメージは記憶の霧中に消え、なんとなく水墨画に出てくるような落差のある滝だったなぁ程度であった。あじさいが咲いている中、若かりし私は風景より隣の人物へ全神経を集中させていたような気がする。要は滝や風景の記憶がかなり薄い(笑)。そんな感じで訪れた見返りの滝は、さすがは日本の滝100選と改めて感嘆のため息が漏れた。
見帰りの滝は、相知町【おうちちょう】にあり、佐賀県三日月町と唐津市を結ぶ国道203号線の相知町役場前交差点から北側へ4kmほど入った山腹にある。標識は整備されているので迷うことはないだろう。
見帰りの滝は、あじさいの名所として有名である。滝周辺から滝下の川沿いの遊歩道には、シーズンともなれば美しいあじさいが咲き乱れ、多くの観光客が集まる。あじさいの時期は6月上旬から7月上旬位であるが、ブルーの大きな花は滝の清涼感を増感させてくれる。
ただし、この時期は各地から大勢の人々が集まるため、臨時駐車場が設置されシャトルバスが運行される盛況ぶり。期間中は美化協力金(200円)が必要。それ以外の言うならばオフシーズンは、車で滝のすぐ近くまで登れるし、遊歩道入り口よりちょっと下流にある、町が管理する無料駐車場を利用できる。
見帰りの滝_2
見帰りの滝_3 そして今回訪れたのはオフシーズン(笑)。時計は午前11時を指していたが、のんびりと散策することができた。前日までは雨が降っていて、伊岐佐川を流れる水は茶色に濁っていた。少々まとまった雨が降ったことを示している。そんな中、遊歩道は滑り易いだろうという推測も、きちんと整備されている為に特に不安を感じることなく進むことができた。
遊歩道の続く区間は、緑豊かで渓流の雰囲気。小さな滝や流れの変化があって自然造形が楽しめる。また、要所要所では俳句だろうか、前年に行われたコンテストの出品作品が、案内板と共に紹介されていて散策の楽しさに一役買っている。こまかい演出ではあるが、こういった活動はリピーターを増やす要因になりそう。
ちなみにこの付近の伊岐佐川は禁漁区である。漁場入場許可証を購入しなければ基本的に釣りは禁止、と思った方が良いだろう(詳しくは案内板で)。アユやヤマメも釣れるようである。
見帰りの滝_4 見帰りの滝_5 見帰りの滝_6
遊歩道は整備されています 途中このような滝もありました 吊橋が見えると見帰りの滝はすぐ
さて、滝であるが、落差100mと佐賀県下最大の落差を誇る。
水の流れは複雑で、本流と思しき水流は向かって右手にやや弧を描くよう落ちている。また、左手には細い水流が数本みられ、あるものは岩の切れ目を一直線に勢い良く流れ、またあるもは左手に大きく回り込む。多様な変化をみせつつ最後は本流と合流して滝壷へ向かう。
緑が茂る岩肌を滑る落ちる水、白い模様を描いて絶え間なく流れる光景はなかなか美しい。すぅーっと一直線に滝壷へ落ちている滝も、和風の美といった感覚を覚えるが、ここの滝のように多彩な変化を見せつつ100mを滑り落ちていく様相もまた美しい。誰が命名したのか、見帰りの滝とは良く言ったものだ。
と思って案内板をゆっくりと見てみると、見帰りの滝と名付けたのは、地元の寺でこの近くにあった伊岐佐・浄方寺【いきさじょうほうじ】(現在は相知町佐里に移転した浄法寺)の朴心【ぼくしん】という人物ではないかとされている。
元禄時代に俳諧を広めた人物で教養人であったと思われる。そう思うとなるほど、見帰りの滝という名称はなかなか風流に感じる。この付近は文人の遊行の場としても知られていたようだし、自然と上品な言葉が好まれていたのだろう。
見帰りの滝_7
見帰りの滝_8 見帰りの滝_9 見帰りの滝_10
滝にはやっぱり吊橋でしょ(笑) あじさいは6月初旬から見頃 これは下流にある丸渕の滝
見帰りの滝_11 見帰りの滝の背後には、作礼山【さくれいざん】(以前は作礼岳【さらいだけ】と呼ばれていた)がある。背振山地北西部にある標高887mの山で、山頂部には湧水による池があるそうだ。山頂部に湧水池があるというも不思議である。
この作礼山は修験道の霊山として崇められ、見帰りの滝は山伏の修行の場であったらしい。滝での修行といえば滝に打たれる光景を想像するが、まさかこれだけの水量の流れる中でやってたのだろうか、恐るべしである。ま、滝壷があるので、本流そのものに打たれるのは不可能かと思うところだが...どうなのだろう。
滝近くの駐車場付近から階段を少し登った滝壷を見下ろすところに、十一面観世音菩薩が祀られる観音堂がある。子宝や眼病にご利益があるのだそうだ。十一面観世音菩薩様であるが、十一面のお顔をお持ちなのだろうかと覗いてみたが、どうもそうではないようだ(実はあるのかもしれないけど)
見帰りの滝の上流には、現在伊岐佐ダムが水資源の確保と水量調節に供されている。そのおかげで、見帰りの滝を流れる水量は安定したものの、水道水または農業用水として利用される関係からだろう、ダム建設前より滝を流れる水量は減ったようだ。訪れた際も、まとまった雨の後であるから、本来はもっと多量な水が流れるところなのかもしれない。ま、そうなると滝壷近くまでは近寄れなかっただろうけど。
滝と吊橋は相性が良く各地で見られる光景であるが、ここでも滝下すぐのところにあじさい橋なる吊橋がかかっている。もちろん吊橋からの眺めは良いものだ。橋からぼーっと滝の流れを眺めるのも一つの楽しみ方なような気がする(笑)
あじさいの時期が最も見頃ではあるが、その時期以外でものんびりと楽しめていいポイントだと思う。久しぶりに訪れて、改めて見帰りの滝の魅力を再認識した私であった。
見帰りの滝_12
見帰りの滝_13 見帰りの滝_14 見帰りの滝_15
観音堂です。子宝と眼病にご利益有 観音堂から見る滝の様子 天山県立自然公園内にあります

 関連リンク 唐津市ホームページ  
   
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