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 はなたれ小僧(民話はなたれ小僧発祥地)(福岡県山門郡山川町)    site up 2003/04/19

山川町にある「はなたれ小僧」さんを紹介することになった。

現地には「はなたれ小僧」の石像があって、なんでもテレビで紹介(地方局かな)されるぐらい有名な民話「はなたれ小僧」の発祥地ということで、実は興味津々だったのだ。なんせ鼻をたれている小僧の石像というだけでも稀有【けう】な存在と思うわけである。
まだご存知ない皆さんは「おおっ? そりゃすごい」と思われたことだろう。期待満々に訪れてがっかりされるといけないので先に述べておこう。はなたれ小僧殿は普通に風景の中に溶け込んでおられる。派手な振る舞いはない、どうかすると見過ごしてしまうほど普通な光景なのだ。
ご覧のように普通にお地蔵様が祭られている雰囲気だ。しかし、そこがまた民話らしいではないか。
よくある日本三大○○○のような豪華絢爛なる広告・看板が回りに乱立していたりすると、民話というローカルな雰囲気にはアンマッチと思う。
例えば、棚田が続くどこまでも静かなあぜ道に、バリッとした派手な色味のスーツに彫り深い端整な顔立ちの男、持ち歩くのは一流の証AmericanEXPRESSのゴールドカードのみ、だがどうしたことかお婆ちゃんが商う野菜直売所では、カードが使えず愕然と「ここはどこだ...」と立ち尽くす…ぐらい違和感がある。
要は民話には流行に左右されないローカルな雰囲気が合うと思うし、ここにはその雰囲気がある。例を続けるなら、腹巻姿でクワを担いだお爺さんが、野菜直売所のお婆さんに気さくに声をかけ、特製たくあんを買ってかえる姿がベストマッチだと思う(編集注:よく分からない例だが…ま、いいか)

民話「はなたれ小僧」には川が欠かせないが、当然はなたれ小僧さまの石像裏手は「真弓川」が流れている。もちろん、民話に出てくるのはきっとこの川でしょうね。

それでは、前置きが大変長くなってしまい申し訳ないが、はなたれ小僧さんに欠かせない民話「はなたれ小僧」を簡単にご紹介しよう。


今から二百数十年前、この村里に正直者のお爺さんとお婆さんがおりました。お婆さんは畑仕事、お爺さんは山で柴刈りをして南関の町で売って暮らしていました。

ある日、お爺さんがいつものように南関の町で柴を売りますが、どうしたことかひとつも売れません。「なんでかのう…」と途方にくれたお爺さんは重い柴を担いで帰ることになりました。
帰りの途中、川縁にさしかかった際に、
「柴が売れないのはわしの日頃の信心が足りんからだ、よし、水神様にお参りして帰るとするか」 するとお爺さんは、
「残りものですみませんがの…」
と担いできた柴を川に流し、水神様にお祈りしました。そして帰ろうとしたところ、そこには真っ白な衣、濡れたようなしっとりした髪を持つそれは美しい女性が立っていました。
「先ほどはきれいな柴をくださりありがとうございます。お礼に水神様がこの小僧様を差し上げたいとおっしゃってます。この小僧様は、はなたれ小僧さまといって、お爺さんの願いを何でも聞いては叶えてくれます。ですが、エビなます(エビの酢もの?)しかお食べになりませんので、毎日新鮮なエビを採ってエビなますを差し上げてください。」
といってその小僧を差し出しました。端整なお顔立ちの小僧様ですが、なぜか鼻の下には汚い二筋の鼻汁を垂らしています。お爺さんは、
「水神様のお恵み。大切にお育てさせていただきます。」
と大事に抱いて帰り、お婆さんにこの経緯を話して聞かせました。お婆さんもたいそう喜び二人で大事に育てることにしました。
なんでも願いを聞いてくれるはなたれ小僧様、二人は不自由なものは何でもお願いして楽に過ごすことができ、そしていつしか村一番の大金持ちになっていました。

ところが二人はだんだんとこのご恩を忘れてわがままを言うようになりました。
「わしゃ近頃毎日冷たい川に入ってエビを採るのがおっくうになってのう…」
「そうじゃろ、あたしゃ、鼻水を見るのも気持ちわるうなってなぁ」
そこで二人相談して、とうとうはなたれ小僧様に帰ってもらうことにしました。
「わしもこの年で、冷たい水に入ってエビを採るのも最近体にこたえますのじゃ。申し訳ないのじゃが、はなたれ小僧様、水神様のもとへお帰りいただけんじゃろか…」
とお爺さんは申し訳なさそうに言いました。
するとはなたれ小僧は大変悲しそうな表情を浮かべ、そして鼻汁をズルズルとすすりながら姿を消されました。すると、どういうことでしょう。村一番の立派な屋敷や蔵が消えてしまい、後には野原にぽつんと朽ち果てた一軒家が残るだけでしたとさ。


このような鼻汁が誇らしげに白く描かれた質素な看板はある。鼻汁がここまで脚光を浴びるところもそうあるまい。少なくとも私は知らない。

お話は、満足できる生活ができるようになった恩を忘れ、自分の楽を求めるあまり感謝の心を忘れてしまうとバチが当たったという民話らしい展開である。
毎日取れたての新鮮なエビなますしか食べない、そして汚い鼻汁をいつも流している、だけど願いを叶えてくれるはなたれ小僧さま、この小僧さまと暮らしていくわけだから、一見楽なようだがなかなか苦しい選択を迫っているように感じる。

普通はこう思うだろう。
「お金持ちになってまでなんで川に毎日毎日入ってこんなことしなければ…」
「こんなにお金持ちなのに、汚い鼻汁を拭いてカピカピになる袖口を毎日毎日洗うのはもういや…」
などの感情が芽生えるのも納得である。
ツルが人間の姿で恩返し中、布を織るツルの姿を見られてイヤンとなるよりよっぽど現実味があるお話だ(編集注:ま、それはそれで…ね)

極論からいえばお金持ちだからお手伝いさんでも雇えばよかったよね(編集注:バチあたり者だね)

南関町との境にほど近い、山川町の真弓橋交差点(信号名はついてない)近くにおられる「はなたれ小僧」さま。
写真からもお分かり頂けると思うが、大変やさしいお顔立ちである。2本の鼻汁も見えますね。国道443号線の真弓橋信号から見える距離、近くを通られる際には是非お立ちよりを。

しかし、水神様のお使いで例の白い衣の濡れたようにしっとりとした髪の美人が、小僧を抱いて私の前に現れたりしたらどうだろう、
「子持ちでもいい、あなたとお付き合いを…」
なんて馬鹿なことを言ってしまうかもしれない。そのときの私は「はなした長い小僧」でしかない(笑)
   

地図はこちらから⇒  がおおよその位置になります。
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